獣は禁断の果実を蝕むのか。
ああ…スパイの仕事、早く終わらないかな?
専務にも会いたくないし。
意味の分からない嫉妬でいじめられたくもない。
『OLハルコの憂鬱』じゃなくて『元OL小松の憂鬱』だよ。
ズシリと重たい心なのに…
「すぐに部屋に来てください。」
朝っぱらから一番会いたくない専務に呼び出し。
きっと、昨日の会議と資料のことでしょ。
倒れてできなくて間に合わなかったとか?
はあ…朝から氷のような言葉でブスブスと心をえぐられて、何回、謝ればいいんだろう?
憂鬱な気分で、専務の部屋に向かった。
「すみませんでした。」
開口一番、深く頭を下げながら、謝るしかない。
専務のパソコンを打つ手が止まった。