獣は禁断の果実を蝕むのか。
「資料が間に合わないことは、昨日、嶋元が謝罪の連絡をくれました。」
「じゃあ…」
他に思いつかない。
「どうして自分から、資料が遅れる旨を連絡してこないのですか?」
「すみません。」
「まあ、倒れるほどの激務であったなら、そこまで頭が回らなく周りがフォローしてくれたと考えました。」
あれ?
怒られるんじゃなくて…逆に謝ろうとしてる?
でも、そしたら昨日のお弁当の事が納得できない。
なんかスッキリしない。
「すみません。まだ、色々なことに慣れなくて。」
秘書なんて慣れないのは事実だけど、データ盗みたくて寝不足なんて言えない。
だけど、専務は私の言葉を無視して
「しかし、怠けたいがために、人の好意まで踏みにじるような行為は止めていただきたい。」
そう言いながら、クルリとパソコンを私に向けた。