獣は禁断の果実を蝕むのか。

自分でお弁当をダメにしておきながら、アナタなんですねって。


何がしたいのか分からないけど。


「…はい。」


うつむきながら答えた。


「そうですか…」


ため息まじりに返って来た言葉。


重たい沈黙が押し寄せて来そうで。


「そんなに私をクビにしたいなら、ハッキリ言ってください。」


思わず口をついて出た。


どうせ、明日には皆瀬さんにデータを渡して終わるんだし。


もう、こんなの限界。


精神的にチクリチクリと。


毎日のように怒られて謝って。


影では、どうやって辞めさせようかって企んでいて。


カラダも心も疲れ果てた。


トドメは、このお弁当だよ。

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