獣は禁断の果実を蝕むのか。
「お詫び?専務が?」
「事情を知らなかったとはいえ、呼び出して要らぬ手間を掛けさせたこと。そして、オレの手配したことが、キチンと遂行できていなかった事。それをお詫びする。」
ゆっくりと下げた頭。
「やめてください!!専務は、いつのもふてぶてしいくらいの冷たい人であって…そんなことをしないで下さい!!」
ビックリしちゃって、意味の分からない言葉が次々と口から出てしまった。
「ふてぶてしい…」
戸惑ったような表情を浮かべながら、ゆっくりと頭を上げた。
「あの…違って…あの…ああ!!言葉が見つからない!!」
どうしていいか分からなくて、オロオロするだけ。
専務にふてぶてしいはないもんね。
どうしよう。
自分の言葉のボキャブラリーのなさに泣けそう。
「そんなに、ふてぶてしいですか?」
マジマジと私の顔を見た。