獣は禁断の果実を蝕むのか。
「あの…私、なにかしちゃいました?」
恐る恐る聞いてみた。
専務がここまで驚くんだもん。
…何かしなかったことを確認したいだけ。
「覚えていないのか?…あれだけ飲めば、当然だろうな。」
呆れながらため息をついた。
「当然とおっしゃいますと?」
まさか…
スパイのことや、横領の話とか。
しちゃった?
二日酔いで少し熱を持った体に、急激に冷たくなった血液が体の中を駆け巡る。
ドクン
ドクン
怖い緊張で、鼓動も自然と高鳴る。