獣は禁断の果実を蝕むのか。
あれほど気だるかった体が、体内に残った全てのアルコールが一気に蒸発したかのように、背筋がピンと張る。
ゆっくりと開いた専務の口。
ゴクリと息を飲んで、出てくる言葉に身構えた。
「…まあ、記憶があれば、オレの目の前には顔を出せませんね。」
フッと緩んだ口元に、自然と体が震えてくる。
やっぱり…
酔った勢いで話しちゃったんだ!!!
ギュッと手を強く握りしめて、ゆっくりと顔が下を向く。
「あの…私。」
言葉が出てこない。
ただ、唇が震えて体中が凍りついてく感覚だけ。