獣は禁断の果実を蝕むのか。
「せめて、接待の場だけでは深酒はしないよう。」
どこか優しい声に驚いたわけじゃない。
自分の思っていた言葉と違って、パッと顔を上げた。
「あの…あ…私…何を?」
まだ安心できない。
唇は震えたまま。
「本当に、何も覚えていないんですね…あれだけの乱れ方は、初めて見ました。」
含み笑いのように緩んだ口元を手で隠した。
み…乱れる!?
パッと頭の中に浮かんだのは、イジワルなほほ笑みでキスしてきたこと。
まさか。
いや。