獣は禁断の果実を蝕むのか。

家のベッドで寝ていたし。


服も脱いでなかったし。


そんなことをやってしまった形跡もない。


怖い緊張で震えていた唇は、みるみる引きつって行く。


言葉にならない私に、専務は笑いを堪えながら


「オレに散々、絡んだではないですか?日本酒の一升瓶を片手に、しっかりと肩までつかんで離さず『私の勧めるお酒が飲めないのか!!』って。」


サーッと顔は青ざめて。


プルプルと小さく首を横に振った。


本当に記憶には全くなくて。


何もなかったのは安心したけど。


そんな恐ろしいことを…


お酒が入っていたからって。


よくもできたなって。


それは…ありがとうございますじゃなくて。


すみませんでした。の間違いだ。
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