獣は禁断の果実を蝕むのか。

「小松、感傷に浸るより、急がないと期限になっちゃうわよ。」


その言葉に、ピタッと涙が止まった。


「どういうことですか?」

「ここに書かれている内容は、契約書や取引先に配る資料のような物ね。」


「じゃあ…」

「そう、小松がしなければならない仕事のものじゃない。」


「でも、九重部長のパソコンの中には、これ以外のデジウェアに関する物はなかったですよ?」

「私、留学していたから、英文は得意だから間違いないわ。デジウェア自体を手に入れるには…やるしかないみたいね?」


チラッと見上げた私の顔。


その先を言わなくても、もう分かる。

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