獣は禁断の果実を蝕むのか。

「部長と一晩、ともにします。」


覚悟なんか決められない。


でも、もうそれしか方法はないんでしょ?


2ヶ月も残っていない。


覚悟なんか…後で決めるしかない。


「じゃあ、私は社長を…」


その言葉に、ハッと眉をゆがめた。


「皆瀬さん、それは…だって、常務と結婚するんじゃないんですか?そんなの、常務も喜びません。頼りないかもしれませんが、私が何とかしますから!!」


結婚が決まっている皆瀬さんに、そんなことはさせられない。


どうこう考えている場合じゃない。


私の任務なんだから。


私が何とかしなきゃ。


ギュッと握った皆瀬さんの手。


ゆっくりと皆瀬さんも手を添えてくれた。

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