獣は禁断の果実を蝕むのか。

「だったら…今夜、ゆっくり教えましょうか?」


九重部長の耳元で。


甘い蜜がしたたり落ちるくらいの声で囁いた。


「本気?」


少し驚いたみたいで、少しだけ腕をつかみあげた手が緩んだ。


ジッと獣の瞳が私を捕えて映し出している。


もう、このチャンスしかないよね?


ためらっている隙はない。


「本気ですよ。」


ゆっくりと九重部長の唇に近づく。


触れるか触れないか。


微妙な距離で軽くキスをした。

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