獣は禁断の果実を蝕むのか。
「すみません。」
深く頭を下げた。
「坂植(さかうえ)相談役から、何か届いているはずだが?」
「すみません。すぐに調べます。」
ヤバイ。
九重部長の事で、すっかり通常業務を忘れていた。
そんなことは言えないけど…
「もっと、使えるようになっていたとは思ったが…やっぱり、小松はド素人レベルだな。」
呆れたようにため息をつくと、メガネの奥の冷たい視線が痛いくらい突き刺さる。
「申し訳ありません。」
言い返すこともできない。
「専務?この書類でよろしいですか?」
ヒョコッと顔を出したのは、薄緑色の封筒を手にしたあかりさん。