獣は禁断の果実を蝕むのか。
道ならぬ情交
午後5時26分。
ブルルルルル…
会社用の携帯がいきなり鳴って、サブディスプレイには見知らぬ番号。
チラリと周りを見渡して、サッと秘書室から出て行った。
「…はい。小松です。」
ワントーン高く電話に出た。
「おう。本当に沙菜ちゃんの番号だったんだな。」
この軽い声。
「九重部長。」
「今夜7時に会える?」
まさか、本当にこんなに早く連絡をしてくるとは思わなかったけど。
でも明日には、もうこんな生活を終わりにさせられる。
フウッと深呼吸をすると
「分かりました。場所はどこでしょうか?」
覚悟は決まった。