獣は禁断の果実を蝕むのか。
「地下の駐車場。」
「かしこまりました。では、今夜7時に地下の駐車場で。」
約束をすると、プチッと電話を切った。
さあ、今夜が決戦だ。
約束の7時に地下の駐車場に行くと、専務の車がまだ止まっている。
自然と足が専務の車の前で止まってしまって。
今夜も遅いんだ…
らしくもない。
寂しさにも似た不思議な感覚が、胸の中を渦巻いている。
私は今夜。
九重部長と…
専務の時は感じなかった。
チクチクと痛みが心を突き刺す。