獣は禁断の果実を蝕むのか。

それは、身売りをするためではなく、絶望にも似たものが体中を広がったから。


専務が一人で?


じゃあ、九重部長のパソコンにもデータの痕跡もなければ。


知らないって言うのも当然。


だから毎日、専務は一人で遅くまで仕事をしていたんだ。


全てに納得はできたけど。


じゃあ、今、ここで体を重ねるのは?


何にも意味はない?


こんな所で叫んでも、誰も来ない。


抗うにも力が雲泥の差。


もう、スカートの裾は太ももまでまくられている。


そのスカートの中の指先は、太ももの付け根まではい上がってきて。


その先のくぼみへと指を伸ばした。


「ごめんなさい!!」


自分でも驚くくらい。

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