獣は禁断の果実を蝕むのか。

「そうなんです。昨日、ちょっとケンカしちゃって。」


照れ笑いを浮かべた。


「大丈夫!?女の子にこんなアザを作るなんてDV男じゃないでしょうね!?」


ムッと怒りを露わにした。


「そんなことはないです。」


否定する言葉も聞かず私の手を引っ張ると、そのまま隣のミーティングルームと呼ばれる、使われていない部屋へと連れてきた。


真ん中に置かれたソファセット。


大きなソファに私を座らせて、室長も隣に座った。


「傷はついていないみたいね?」


そでをめくり上げると、腕を見回した。


「本当に、大丈夫です。」


慌てて手を引っ込めようとした時。


チュッと室長の唇が私の腕のアザに触れた。


言葉にならない衝撃に。


カラダは止まったまま。

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