獣は禁断の果実を蝕むのか。

「もしかして…こんなのは初めて?」


そっと横たわらせられたソファ。


第6感は当たった。


優しく覆いかぶさった室長の手は、私の頬をゆっくりと撫でた。


「室長?社長に申し訳ないので…」


そう答えたのが精一杯。


怒らせるわけにもいかない。


このまま続行なんてムリ。


体よく断ったつもりだったのに。


「あんなのはいいの。大体、あの人がこういう世界っていいものって教えてくれたの。」

「社長が、ですか?」


もしかして…


社長はそっち方面の人?


「女と見れば見境なくて。あれは一族のDNAね。」


それは納得。


専務も部長も。


手の早さは一流だもん。

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