獣は禁断の果実を蝕むのか。
絶対に専務は軽蔑する。
他の女と同じだったって。
それだけはされたくない。
「そういえば、小松とはキスらしいキスはしていませんでしたね?」
クイッと持ち上げられたあご。
専務の整った顔が近づく。
呼吸が止まるかと思うくらいキレイな顔立ち。
ハッキリと見たのは、今日が初めて。
こんなにも、専務の顔ってキレイだったんだ。
トクン
トクン
高鳴る鼓動。
こんなにも甘く高鳴る意味が分からない。
怖いはずなのに。
イヤなはずなのに。
専務の唇が近づくたびに、甘い鼓動が大きく脈を打つ。