獣は禁断の果実を蝕むのか。

伸ばした腕を専務の手がつかみ取って、目の前にしゃがみ込んだ。


「最後にひとつだけ、試させてもらいましょう。」


クビでないことにホッとしたのは瞬刻。


最後?


試す?


その言葉に、もう後がないって緊張が、まだ熱を持っている体に冷たく走り抜けた。


「何を…でしょうか?」


ジッと専務の顔を見た。

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