獣は禁断の果実を蝕むのか。

専務は私を……好きなのかな?って。


違う。


きっと、出会った瞬間のあの真っ暗な瞳の奥に。


私は捕らわれたのかもしれない。


そして、あの晩のキスで。


淡い期待はいっぱいに膨らんでしまった。


「なんだ?」


冷たく響く専務の声。


こぼれそうな涙をこらえながら、ジッと鋭いその獣の宿った瞳を見つめた。

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