獣は禁断の果実を蝕むのか。
「逆にありがたいと思えよ。」
スッと離されたあご。
そのまま九重部長の手が、私を包んでいた毛布をバッと左右に大きく広げた。
「な………」
悲鳴も出ないくらい驚いて。
真っ青な顔をしながら、大きく目を見開くしかできない。
隠すものなんて何もない。
九重部長の目の前には、私の全部が見られてしまった。
「まさかとは思ったけど、犬じゃねえんだから、どんだけマーキングしてんだよ。これでも引き取ってやるって言ってんだから、お礼ぐらい欲しいもんだぜ。」
緩んだ口元。
九重部長の目は、何度も私の体を見回す。