獣は禁断の果実を蝕むのか。
偽りと愛
耳を突き刺すようなドアを閉める音にビックリして。
少しの間、2人で黙ったまま。
私は専務の腕の中にいた。
強く抱きしめる腰のあたりの専務の腕。
ほんの少し苦しくて。
「せ…専務?」
ゆっくりと顔を上げた。
「あ……悪い。」
戸惑った専務の顔。
初めて見た。
毛布から出ていた私の肩に触れた専務の胸。
ヒヤッとした感触がして。
パッと毛布を広げると、首元に手を伸ばして、そっと専務の体を包み込んだ。
専務は背が高いから。
少し背伸びをしないと、専務の体は包み込めない。