獣は禁断の果実を蝕むのか。

「強い？何が…ですか？」

「その強さに、オレは心を捕らわれてしまいました。」


「では…」


ここに残っていいの？


まだ、私をそばに置いてくれるの？


聞きたいことが多すぎて、言葉が上手く出てこない。


「並大抵の覚悟では、そばには置けません。小松は、それほどの覚悟はできるのですか？」


そんなのとっくに決まっている。


まだ、専務の顔は見られるんだもん。


残りは、たった1ヶ月。


そして、借金と犯罪者のレッテル。


…残された時間を専務とどんな形でも過ごせるなら。


それを負っても構わないって強く思ってしまった。


「できます！！」


ハッキリと、専務の冷酷な瞳に答えた。