獣は禁断の果実を蝕むのか。
カウントダウン

「せ……専務!!ダメです!!」


何度も言っているのに。


全く聞いてくれない。


「これから会議ですし、今夜は遅くなります。秘書ですから、分かっているでしょう?」


耳元で囁くと、イジワルに耳を甘噛みした。


「んっ……ですが、ここは会社です!!」


ピクッと体が反り返ったのは一瞬。


背後から力強く引き寄せる専務の腕を。


何とか振り払おうともがいている。


なのに、グッと専務の顔に向かされた私の唇。


「沙菜はひと時でも、オレの肌と離れるのは寂しいと思わないのか?」


冷酷な瞳をうるませながら、私に囁きかけるのはルール違反だ。


抵抗していた手の力は抜けて、あっという間に唇はふさがれる。


もう、私に否定させないため。

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