獣は禁断の果実を蝕むのか。
「オレのマンションの鍵だ。」
「専務のマンション?どうして鍵を私に?」
「状況が状況だ。落ち着くまで、ここに帰っていろ。何時になろうと帰ると約束する。」
「あの…帰っていろって…」
戸惑う私の左肩を引き寄せると
「続きをお預け出来るほど、人間が出来ていないのでね。」
そっと、耳元で囁いた。
囁かれた耳元からポンッと顔が一気に赤くなって。
さっきの専務室での情事が頭の中に蘇る。
「こんな時に、何を言っているんですか!?」
目を大きく開きながら、顔をしかめた。