獣は禁断の果実を蝕むのか。
大きな温かさ

「沙菜ちゃん、どうしたんだ?」


自分の弟が入院したって言うのに、明るく電話に出るんだから。


「あの、社長の容態は?」


それが先決。


万が一があったら、皆瀬さんは殺人者になっちゃうもん。


「今は意識も戻って、ナースを口説いているって。」


電話越しに、大きなため息をついた。


「良かったです。で、社長が倒れた原因は?」


そこが肝心。


「ヤリ過ぎだろ?」

「え?」


思わず聞き返した。


「どうせ、どっかの女に手を出そうとして、ヤリ過ぎで倒れたんだろう?それをバレたくないから、飲んだ薬とアルコールの反応で倒れたってことになってんだぜ?」


まるで、ヤリ過ぎたのを同意してくれと言わんばかりに、訴えかけてくる。


「そうですか。無事で何よりです。」


カラ笑いでゴマかすしかない。

< 301 / 387 >

この作品をシェア

pagetop