獣は禁断の果実を蝕むのか。
ったく、九重部長の頭の中は、それしかないのかな?
ムカムカとした気持ちを落ち着かせながら、専務のマンションに来た。
そのマンションを見て、ポカンと口を開けた。
オートロックの自動ドア。
大きなその入り口の横には、駐車場スペース。
カードキーで部屋に入ると、甘い専務の香りが鼻についた。
…専務の匂い。
この甘い香りに、ほんの少しだけ。
罪悪感っていうモノが芽吹いてしまって。
これからやろうとしていることに、チクリと心が痛む。
ギュッと握った手。