獣は禁断の果実を蝕むのか。
混乱
次の日、出勤前に鏡を見ながら
「よし!!」
鏡の中の自分に気合を入れた。
今日で、この偽物・小松沙菜とお別れだ。
3ヶ月ちょっと。
長いようで短かった。
あれ程、苦手だった巻き髪もメイクも。
慣れてきていたのに。
今日で最後って思ったら、なんか名残惜しい。
玄関を開けると、今日は、いつも以上に太陽がまぶしかった。
会社に着くと、秘書室はいつもと変わりない。
もう、ここも最後だ。
「皆瀬さん、大丈夫だった?」
声をかけてくれたのはアンちゃん。