獣は禁断の果実を蝕むのか。
こんなに好きになっていたんだろう?
どうして…
心が重なってしまったのだろう?
好きって感情を持ってしまったこと。
その感情が繋がり合ってしまったこと。
こんなにも、後悔しなければいけないなんて。
嬉しいはずの思いは、苦しいものでしかなくて。
与えられた仕事も遂行できない。
ホント、使えないスパイだ。
ポーンッ
エレベーターの扉が開いた。
流れ落ちた涙をぬぐうと、開発課に向かった。
泣いた顔なんか見せたら、何をされるか分からないもん。
ピンと背筋を伸ばして。
何事もなかったかのように開発課に向かった。