獣は禁断の果実を蝕むのか。
「言ったらしてくれる?」
両肩に腕を乗せ、顔が近づいてくる。
「しません。」
ハッキリと答えた。
「…じゃあ、教えない。」
ニッコリと笑った。
「では、仕事がありますから。」
肩から腕を外すと、その手の上に専務から預かった書類を乗せてニッコリとほほ笑んだ。
「つまんねぇ~。」
ムッと口をとがらせた。
「私は九重部長のお楽しみ箱ではございません。」
丁寧に答えると、その場を去ろうとした。
「ホント、いい女なんだけどな…もったいねぇ。」
ため息まじりにつぶやくと、ピラッとスーツの裾を持ち上げた。
「何するんですか!?」
眉をゆがめながら、九重部長をにらみ上げた。