獣は禁断の果実を蝕むのか。
「いつもの方が好みなんだけど…どうせ、梓悸が選んだんだろう?」
「……どういう意味ですか?」
ムッと口をとがらせた。
「地味。」
たった一言。
簡単に言い放った。
口をパクつかせながら、何て言ったらいいの?
必死に言葉を選んでいる。
「べ…別に、九重部長の趣味に合わせるつもりはないです!!」
プックリとホッペを膨らませた。
「こういうのも悪くないけど…視界には、いつも刺激が欲しいだろう?」
「二度と、九重部長の前では着ません!!」
刺激って…
そういう目で見られているってことでしょ?
やっぱり、昨日見た九重部長は別人だ。