獣は禁断の果実を蝕むのか。
「目的はひとつだろ?梓悸とお前を離したい。」
「それは、九重部長しか犯人の心当たりは思いつきません。」
写真の向こうにチラリと見える、九重部長の顔をにらんだ。
「オレがこんな暇なことするかよ!!オレなら実力行使で行く。まあ、検討は付いているけど…沙菜ちゃん、一緒に見に行くか?」
「そう言って、実力行使に出るつもりですか?」
犯人は知りたいけど、実力行使の方が無理。
身構えてしまうのも自然の摂理。
「んなことしねえよ。最後のトラップは、沙菜ちゃんがいたら無敵ってだけ。仕掛けはバッチリ。行くか?」
「トラップですか?」
見たくないって言えばウソになるけど。
でも、九重部長っていうのが怪しい。
ジッと怪しむ目つきで九重部長を見た。
「何もしねえって約束すっから、いいから来い!!」
ムリヤリに近い。
腕をつかむと、そのまま引っ張るように開発課とは反対方向に歩き出した。