獣は禁断の果実を蝕むのか。
獣は貪りつくす
私の涙が止まったのを確認するかのように。
そっと体を離して、私の顔をのぞき込んだ。
「では、最後の仕事をしますか。」
そう言って、デスクの引き出しから出してきたCD-RとUSBメモリー。
私の手を取ると、そっと手の中に入れた。
「これ、使うわけにはいきません!!」
専務の手の中に押し返そうとした。
「1800万くらい払うのは簡単ですが、ここまでオレの大事な人を泣かせましたからね。」
クスッと笑った口元を見た瞬間
「…偽物ですか?」
「皆瀬のメンツもあるでしょう。」
「え!?皆瀬さんの事も知っていたんですか?」
さすが専務だけど。
いつから知っていたの?