獣は禁断の果実を蝕むのか。
「知っていましたよ?まあ、沙菜を調べるときに分かったんですがね。」
「じゃあ…社長の件は?」
「全て知っていました。常務の手口は汚いですから。今回の件で、社長も少しは自重するようになると思うので。いい機会だとは思っていますよ?」
その微笑みに安心した。
そして、デスクの上の電話を取ると、どこかに電話をし始めた。
「…ああ、申し訳ない。」
そう言って、受話器を私に差し出した。
「誰ですか?」
戸惑いながら電話に出ると
「小松、ありがとう。」
「皆瀬さん!?」
思わず声が張りあがる。
「さっき、専務から連絡きたの。私もこのままS&Gに残れること。そして、常務をギャフンと言わせられるなら、手を貸しますって契約したの。」
そう言いながら電話の向こうの声が弾んでいる。
「よかった…じゃあ、今から届けに行きますね!!」
「待っているわ。」
そう言って切った電話。