獣は禁断の果実を蝕むのか。
「うん。まっすぐに前を向いている。初めて会った時は、もう、どうしようかと思ったくらい、オドオドとしていたからね。」
ハアッとため息をついた。
「ですね。ダマされて借金作って。横領って犯罪者になって。もう、人生終わったと思っていました。」
でも、今は違う。
S&Gに潜入して。
色々なことがあって。
背筋を伸ばして、しっかりと前を向いて走ることが必要で。
それを教えてくれたのが。
専務だった…かもしれない。
「まあ、今日は、ゆっくり楽しみましょう?」
お互いにワイングラスを手に取ると、カチンと音をさせて乾杯した。
そして、お互いが出会う前の話しとか。
くだらない話をしばらくしながら運ばれてきた料理に感激してた。
「秘書室の皆さんは、元気にしていますか?」
ふいに、気になって聞いてみた。