獣は禁断の果実を蝕むのか。
もう、思い出にしようと思っていた。
専務はあかりさんと結婚して、私は、これから出会う人と恋愛して。
世界は違っても、同じような幸せを見るんだって。
なのに、皆瀬さんに答えられない。
一言
『もう、過去の話しです。』
って、言えば済むのに。
チクッと痛む胸の奥が。
過去にしたくないって思いを溢れさせようとしている。
だから、必死に押さえつけようと堪えているから。
答えが言えない。