獣は禁断の果実を蝕むのか。
さっき、皆瀬さんの言っていた言葉を思い出す。
「あたし、安城芹(あんじょう・せり)アンちゃんって気軽に呼んで?」
ボブヘアの女の子が、ニッコリと笑ってくれた。
「あ…はい。小松沙菜です。よろしくお願いします。」
「じゃあ、沙菜ちゃんね。」
「は…はい。」
さっきまで緊張していたのに。
なんか、このフレンドリーな感じが、緊張感がプシューっと音を立てて抜けて行く感じ。
「社長には?」
チラッと室長が皆瀬さんを見た。
「本日は会食とのことで…」
言いかけると