獣は禁断の果実を蝕むのか。
皆瀬さんに言われたのは、藤衛専務宛は個人用・社用・会議用・内部書類に大きく分けられていて、届ける名目でこっそり中身をチェックするって言われたんだけど。
まだそのチェックしなきゃいけない書類の種類が分からなくて。
皆瀬さんが封筒の右隅に小さな○の印をつけてくれる。
それがチェックの合図。
今回はそれがないってことは。
普通の会議書類ってことか。
専務の部屋の前に着くと
コンコン
と、軽くノックした。
「失礼します。」
そう言いながら部屋に入ると、
「3分遅刻です。」
眉をゆがめながら、専務が立っていた。