獣は禁断の果実を蝕むのか。
「えッ…あの?」
書類を届けるのに遅刻?
誰かと間違えているとか?
戸惑う私の顔にジッと藤衛専務の顔が近づいてくる。
「11時には、この書類がオレの手元に届くことになっています。時計の針は?」
スッと壁にかかった時計を指差した。
「11時3分…ですか?」
困ったように答えると
「もう4分です。」
スッと差し出された手。
「す…すみません。」
慌てて藤衛専務の手に封筒を乗せた。