獣は禁断の果実を蝕むのか。
巻き髪なんて人生で初めて作ったから。
ヘアーアイロンの説明書を広げることから始めるから、よけいに時間がかかる。
もっと大変なのは、服装。
ここの秘書室って華やかで。
みんなどこかのブランドスーツを毎日、新しいものしか着ていない。
支度金で200万も貰ったから。
今はなんとかはなっている。
これは、早いこと任務を遂行しなきゃ。
また横領しかねない。
「小松さん。ちょっといいかしら?」
「皆瀬さん、何ですか?」
「まだ、開発室とかは知らないのよね?」
「あ…はい。今は、総務と藤衛専務の所にしか行かないので。」
「そう。これから藤衛専務の用事で行くことになると思うし、秘書たるもの、会社のことは知らないといけないから。ついていらっしゃい。」
その言葉で、ピンと分かった。