獣は禁断の果実を蝕むのか。
「これは?」
「このビルの地図と断面図。いい?今、私達がいるのが、この8階の廊下。で、ひとフロアごとにIDとパスワードが必要なんだけど、秘書の持つこのIDカードはオールスルーの魔法の道具。」
「どうしてですか?」
「重役の命令時とか、緊急時なんかにすぐに駆けつけられるように。」
「なるほど。」
「じゃあ、頑張って。」
スッと私の手を取ると、ニッコリと笑いながら掌に地図と断面図を乗せた。
「えっ!?どういうことですか?」
どういうことだか分からなくて。
掌に乗せられた2枚のコピー用紙と皆瀬さんの顔を見比べた。