獣は禁断の果実を蝕むのか。
何度もまばたきをしながら、手を振りながら歩いて行く皆瀬さんの後姿をボー然と見送るしかなかった。
私ってば、こんな重大なことを犯してしまったって。
今になってズッシリと心に重くのしかかった。
祐爾のためとはいえ。
良く出来た…なんて今更ながら思う。
第三者から見たら、私のやったことって、こういうことだったんだ。
少し傷心気味に掌の中の2枚のコピー用紙を見つめていた。
「迷ったのか?」
後ろからニュウッと私の顔の真横に、見知らぬ男の顔が出て来た。