獣は禁断の果実を蝕むのか。

名刺には


『S&Gエレクトン・企画・開発室部長 九重煌(ここのえ・こう)』


「はっ!?あなたが部長!?」


しかも九重って社長と同じ苗字。


驚きと意外なのと。


何かの間違いであって欲しいのに。


ニッコリ笑ったその顔と、スーツの胸元に光るS&Gの重役バッチが真実だと言っている。


「そう。会社案内に載ってただろう?」


見てない。


普通の入社じゃなかったから。


ターゲットしか見なかった。


「すみません。」


急激に声も顔もしぼんでいく。


「お前、もしかして梓悸(しき)の女!?」


驚いて目を丸くした。

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