獣は禁断の果実を蝕むのか。
専務とデジウェアの開発で関係あるし。
躊躇したのは一瞬。
九重部長のネクタイをつかむと、スッと顔を近づけて。
「ね?焦らされた方が、楽しいでしょ?」
甘い吐息のような言葉と一緒に、イタズラな笑顔を浮かべながら、ジッと九重部長の顔を見上げた。
「なるほどね。それは楽しいかも。」
口元を緩めながら、そっとネクタイを握りしめる手に自分の手を重ねた。
「じゃあ、そういうことで。」
ニッコリ笑いながら手を払うと、クルリと方向転換。