獣は禁断の果実を蝕むのか。
「ありがとうございます。」
「じゃあ、帰ってきたらね?」
仕事だから仕方ないと言わんばかりに、少し寂しそうにため息をついた。
「はい。失礼します。」
軽くお辞儀をして室長室を出ると、急いで隣のビルに向かった。
きっと、デジウェアのことだ。
もしかして、もう完成しちゃった?
頭の中を駆け巡るのは、どこかでソフトの内容が確認できる場所がないか?
中身を確かめたいし。
どうやってコピーする?
確か、資料室なら誰もいないし。
パソコンも使えたはず。
ここからのルートだと。
一番近道をフル回転で探す。
全ての手順が頭の中にプログラムされたときには、開発課に着いていた。
開発課に来たのは初めて。