獣は禁断の果実を蝕むのか。

説明なんて、出来ないのに。


専務の指が、触れるか触れないか?


微妙な感覚。


ひんやりとした専務の指先が、足元を小さく震えさせ。


専務の腕がなければ、その場に立っていられないくらい。


触れられた指先から私の体の中に湧いた熱が、ビリビリと腰から足元へ流れては力を奪い取る。


視界は揺らめいているかのように、うるんだ瞳が困惑した顔の九重部長の顔を捕えている。


「わ…私…藤衛せ…専務と…専務の指…カラ…ダ…」


高揚する鼓動と呼吸。


こんなの、恥ずかしすぎるのに。


背中から私の鼻孔にかかるその甘い香りは反則。


頭の中がクラクラする。


「ああ!!もういいよ!!」


呆れたように九重部長が顔をそらした。
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