獣は禁断の果実を蝕むのか。
「はい。」
慌てて電話に出た。
「今日の会議の資料が届いていませんが?相変わらず無能ですね。」
氷のような言葉が心をえぐる。
「…すみません。手違いで、今、作っています。」
トーンの下がった声なんて、専務は気にもしないよね?
寝不足の頭と空腹で鳴り止まないお腹。
そこにこの言葉だもん。
言いわけも考え付かないよ。
どうせ言いわけしたって、自分で資料を作れない無能って言われて終わる。