獣は禁断の果実を蝕むのか。

「はい。」


慌てて電話に出た。


「今日の会議の資料が届いていませんが?相変わらず無能ですね。」


氷のような言葉が心をえぐる。


「…すみません。手違いで、今、作っています。」


トーンの下がった声なんて、専務は気にもしないよね?


寝不足の頭と空腹で鳴り止まないお腹。


そこにこの言葉だもん。


言いわけも考え付かないよ。


どうせ言いわけしたって、自分で資料を作れない無能って言われて終わる。

< 96 / 387 >

この作品をシェア

pagetop