獣は禁断の果実を蝕むのか。

「手違い…アナタは、本当に秘書なのですか?」

「それは…」


秘書はかりそめ。


本当は普通のOLなんて言えない。


「足を開くことしか出来ないような無能な秘書崩れが、九重部長の同行ができないからと仕事に支障をきたさないで下さい。」

「足を開くって…私、そんなんじゃありません!!大体、九重部長の出張とは関係ないんじゃないですか?」


初めて、専務に口答えしてしまった。


クビにだけはなりたくないって思っていたから。


ずっと黙ってきていたけど。


まるで、色仕掛けしか取り柄がないみたいな言われ方にムッとしちゃって。


寝不足と空腹のイライラがスイッチとなって、爆発しちゃった。


大体、借金とかなかったら、とっくにこんなの辞めているよ!!


さすがに、この言葉は、理性が歯止めをかける。


「違うと言うなら、きちんと自分で謝罪に来てください。」


プツッと切れた電話。
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