獣は禁断の果実を蝕むのか。

「自分で謝罪って…」


一方的に切られた電話を見ながら、鼻息荒く深呼吸した。


ここで行かなければ、クビになりそうだし。


資料もあと少し。


会議に間に合わせなきゃいけない。


その為にも、さっさと済ませるしかない。


渋々と気持ちの整理をつけながら、専務の部屋に向かった。


コンコン…


漆の重たい木のドア。


ノックしても小さくしか響かない。


「失礼します。」


頭を下げて専務の部屋に入った。


待っていましたとばかりに、腕を組みながら机に寄りかかって立っていた。
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