叶ってほしい


「えりか!!遅い!!何時と思っとんね!!」


時間は9時。



受験生にしては遅い時間なのかもしれない。




お母さんの怒鳴り声はもう聞きたくなかった。



それなのにえりかは無視して自分の部屋に行った。




「えりか!!」



怒鳴り声が響く。




私は両耳をおさえて自分の部屋へ走った。



隣はえりかの部屋で、お母さんとえりかがけんかをしている。



私はただ泣くしかできなくて、

ばれないように声を押し殺して泣いていた。



泣きながら私は幸せになっちゃいけないのかもしれない。そう思った。


幸せになったら必ず不幸が来るから。



今日もあの時も―






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